岸田文雄首相が信頼を寄せていた荒井勝喜首相秘書官(当時)が、性的少数者や同性婚に関する「差別的発言」のために更迭されてから1カ月が経ちました。取材者側が録音・録画せず公表しないことを約束した「オフレコ」での発言を、最初に報じた毎日新聞には、様々な角度から賛否の声が寄せられています。
こうしたオフレコ発言の報道を巡っては、メディア界だけでなくSNS上でも議論が活発化しています。しかしながら、「良い判断だった」とされる毎日新聞において、ある人事異動が行われることはあまり知られていません。2月下旬、毎日新聞は大がかりな「内示」を発表しましたが、荒井氏の記事で署名が入っていた「A」という人物の名前も含まれていました。
「Aは政治部の記者で、一昨年から与党担当キャップ。22年4月からは首相官邸キャップを務めています」と、毎日新聞関係者は語っています。
2月下旬の「内示」でAに示された行き先は、他のメディアに移籍するわけでもなく、デスク昇進するわけでもなく、「毎日みらい創造ラボ」でした。公式サイトによれば、ラボは「まだ見ぬ顧客価値の創造と実現に向かって走り出す、あらゆるChallengerを後押しする伴走者(アクセラレーター)であり続けます」とうたっており、新規事業開発やオープンイノベーションの推進を目的としています。つまり、編集幹部になるわけでもなく、経済部や社会部などの他部署でもなく、単純に畑が変わるということです。
毎日新聞関係者によれば、この行き先は「本人の希望」だという。